さまざまなガスの検出
一般的にあまり耳慣れないNDIRという言葉は、英語のNon Dispersive Infraredの略称であり、日本語に直訳すると非分散型赤外線吸収となります。これはその名の示す通りで、赤外線をガスにあてることで特定の波長を吸収する性質を利用して、空気中に存在しているさまざまな気体を検出するための装置に使用されています。
そんなNDIRですが、地球温暖化の原因となる二酸化炭素など、現代の社会的環境問題に役立つとして大きな注目を集めています。たとえば赤外線を利用していることから、稼働のための電力消費も少ないので、環境に優しいというメリットもありますし、当然ですが環境にとって有害となる気体の検出が可能です。それゆえに身近なところでは自動車の排気ガスの測定のために利用されていたり、他にもアルコールの呼気検知や火災検知などにも役立っています。さらには二酸化炭素以外にも中毒性の高い一酸化炭素なども検出可能なことから、炭酸飲料工場や自動車および機械製造工場、化学研究所といったところでも設置されているケースも増加傾向にあります。
二酸化炭素濃度を計測できるNDIRセンサー
農作物を育てる際、作物の種類によってはビニールハウスを必ず使っている農家は多いのではないでしょうか。また植物工場といった屋内で野菜などを育てている企業もあると思います。そういった場所で育てる場合、気をつけなければならないことがあります。植物は生き物なので呼吸をしており、光合成の際は二酸化炭素を取り入れ酸素を出しています。そのため気密性のある場所では、次第に外気の成分の割合と差が生じてきます。
そのままにしておくと作物の育ち具合に影響するため、時には調整が必要です。それにはNDIRセンサーが役立ちます。NDIRとは、二酸化炭素の濃度を測ることができる技術です。これをビニールハウスや植物工場に設置しておけば、濃度がどのようになっているかを数値で正確に知ることが出来、必要に応じて換気を行うなど適切な処置をすることが可能です。空気の成分は無色透明であるため目視しただけでは割合の変化に気付くことが出来ません。作物にとってベストな環境を整え、より多くの収穫へと繋げることが出来るNDIRセンサーは、気密性のある場所ではもはや必須アイテムではないでしょうか。